経済産業省がまとめた、人的資本経営の実現に向けた検討会の報告書には、大手企業を中心にした人的資本経営についての取り組みが紹介されています。ここでは、その実例についてご紹介しています。
毎年1回全社にて、経営戦略の実現に必要な人材ポートフォリオを事業・機能面から確認。これを基に、新卒採用やキャリア採用、社内人材の育成に役立てています。必要な人材が採用もしくは育成できない場合、M&Aやコネクションによる人材確保もおこなっています。また、自社独自のエンゲージメント調査を実施し、上司部下関係や職場環境、社員の仕事への活力、成長につながる行動について調査。メンバー間でのコミュニケーションを通じて、よりよい職場づくりを進めています。
重要な経営ポジションにおいて、国籍などの制約を受けることなく、能力による適材適所で配置。外国人幹部も多く登用されています。また、社内転職では全社共通の公募制度を採用し、全ての社員が応募可能。部門側では自部門の魅力や求める人物像などのアピールする機会が設けられています。
人材は会社の資産として捉え、社員一人一人の可能性を引き出し活かすことを目指した活動をおこなっています。毎月開催されている、経営トップが委員長を務める人財企画委員会では、人財開発に関する課題や議論、進捗状況が共有されています。また、成長活性化制度にOKRを導入し、社員自らが中長期的な理想をイメージし、バックキャスティングで目標を設定。目標への挑戦による成長が、結果的に会社の成長や社会貢献につながることを目指しています。
現職社員が感じているその会社の働きやすさ、働きにくさを可視化し、働きにくさは改善、パフォーマー人材がより活躍できるような環境を構築できるサービスを提供。
食と医療分野で培ってきたノウハウを活かし、ヘルスサイエンス領域に参入。それに合わせて、専門的な知識・経験をもつ人材を外部から積極的にキャリア採用しています。また、人材の多様性を推し進めるため、女性管理者の育成を実施。結婚や出産、育児などに入る前に職務経験を積む「早回しのキャリア形成」や、リーダーに必要なスキルや機会を得るための「キリンウィメンズカレッジ」などを実施することで、女性管理者を順調に増やしています。
広告代理事業からメディア事業、ゲーム事業、テレビ事業と事業領域を広げる際、社外人材の力も活用し、勉強会形式で社員が新しい資格や技術を習得できるようにサポート。目標を通じて仲間とつながり、事業領域の拡大による成長を促進し、人材ポートフォリオを確保しています。また、年齢で制約しないことで若手の成長を支援。役職・部門に関わらず議論をおこない変化を生み出しています。
「会社の中の自分」ではなく、「自分の人生の中の会社」という考え方と、自分を突き動かすものやどうありたいのかを表現した「MYパーパス」の策定を課しています。そのための取り組みとして、「MYパーパス1on1」を実施。プロからコーチング技術の指導を受けた上司が、定期的に部下と対話しMYパーパスを共有。仕事において、自発的に動けるようにしています。また、キャリアパスではなくジョブ型人事制度を導入し、MYパーパスを基に社員自らがキャリアを選択できるようにしています。
2003年に政府が掲げた「女性管理職比率30%以上」に賛同し、2030年までに達成することを目指しています。2021年にCDIOを設置し、Diversity Councilを設立。CEOが議長を務め、グループ全体で協議できるようにされています。 また、勤務時間を自由に設定できるスーパーマイセレクト制度や、業務以外のプロジェクトにも参加できるなど、場所や時間に関係なく様々な人が活躍できるように配慮しています。
「手挙げ」文化を採用し、社員が自主的に公認プロジェクトや研修、スタートアップへの出向、新規事業への参画などに参加することで、イノベーション創出を促しています。2008年から始め、これまで4,500名以上が参加しています。また、グループ会社間で移動をおこない、小売・フィンテック・物流・証券・CVC・住宅関連・ITと様々な会社や部署を経験。社員の役8割が移動を経験し、多様性についての理解を深めています。
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。