DX推進に欠かせないリスキリング支援のための補助金制度を紹介
DX化の推進としても注目されているリスキリング。リスキリングを推進するために、国や自治体は補助金や給付金などの支援制度を用意しています。ここでは、リスキリングのための補助金制度について説明します。
令和5年度DXリスキリング助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
都内の中小企業等が従業員に対し、民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練を、集合またはeラーニング等を利用した際にかかる経費を助成してもらうことができます。
申請者
中小企業もしくは個人事業主。以下の表の資本金の額または労働者数のいずれか一方(または双方)に該当するもの。
小売業・飲食店の場合
- 資本金の額または出資の額:5,000万円以下
- 常時使用する従業員数:50人以下
サービス業の場合
- 資本金の額または出資の額:5,000万円以下
- 常時使用する従業員数:100人以下
卸売業の場合
- 資本金の額または出資の額:1億円以下
- 常時使用する従業員数:100人以下
上記以外の産業
- 資本金の額または出資の額:3億円以下
- 常時使用する従業員数:300人以下
申請要件
- 都内に本社または事業所(支店・営業所等)の登記があること
- 訓練に要する経費を従業員に負担させていないこと
- 助成を受けようとする訓練について国または地方公共団体から助成を受けていないことなど
助成対象となる訓練の要件
- 中小企業が自社内に外部講師を招いて実施するDXに関する訓練および、民間の教育機関等が提供する集合またはeラーニング等により実施する訓練(オンライン会議システムを利用した訓練も含む)
- DXに関する専門的な知識・技能の習得と向上を目的とする訓練または資格の取得をするための訓練であること
以下の①、②いずれかの条件を満たす訓練であること
- 教育機関等の受講案内と受講にかかる経費が、ホームページやパンフレット等で一般に公開されており、1講座および受講者1人あたりの受講料があらかじめ定められていること(訓練時間が20時間以上であること。複数講座の組み合わせ可)
- 企業の課題に応じた内容を企画し、自社内に外部講師を招いて実施するものであり、1時間あたり10万円以内であること(訓練時間が6時間以上であること)
助成対象事業者が受講者の受講履歴等を確認できる訓練であること、助成対象期間に実施する訓練であること。
助成対象受講者
- 中小企業が雇用する従業員
- 常時勤務する事業所の所在地が都内である者(在宅勤務中などの場合は在宅場所を問わない)
- 訓練時間の8割以上を出席した者
助成対象になる経費とは?
- 受講料(消費税は対象外)
- 教科書代、教材費
- eラーニング実施にかかるID登録料、管理料等
- 訓練に付随するヒアリング料等
助成額および助成限度額
- 助成額:助成対象経費の2/3
- 上限額:64万円/社・年度
参照元:公益財団法人東京しごと財団公式HP(https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/dx.html)
人材開発支援助成金|厚生労働省
事業主等が雇用する労働者に対し、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度。
人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース、障害者職業能力開発コースの7つのコースがあります。
事業展開等リスキリング支援コース
令和4~8年度の期間限定の助成金。新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、事業主が従業員に対して新たな分野で必要となる知識および技能を習得させるための訓練を、計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度。
支給対象事業主
以下のすべての要件を満たす者
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画およびこれに基づく職業訓練実施計画届を作成し、その計画の内容を労働者に周知していること
- 職業能力開発推進者を選任していること
- 従業員に職業訓練等を受けさせる期間中も、当該従業員に対して賃金を適正に支払っていること
- 助成金の支給または不支給の決定にかかわる審査に必要な書類等を整備、5年間保存している事業主であること
- 助成金の支給または不支給の決定にかかわる審査に必要であると管轄労働局長が認める書類等を管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主であること
- 事業展開等実施計画(様式第2号)を作成する事業主であること
支給対象となる労働者
以下のすべての要件を満たす者
- 助成金を受けようとする事業所が実施する訓練等を受講させる事業主の事業所において、被保険者であること
- 訓練実施期間中において、被保険者であること
- 職業訓練実施計画届時に提出した「訓練別の対象者一覧」に記載のある被保険者であること
- 訓練を受講した時間数が、実訓練時間数の8割以上であること
- 訓練等の受講を修了していること(eラーニングによる訓練等および通信制による訓練等に限る)
- 定額制サービスに含まれる教育訓練(職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練)を修了した者であり、その修了した訓練の合計時間数が1時間以上の者であること(定額制サービスによる訓練に限る)
対象となる訓練
事業内訓練:自社で企画・主催・運営する訓練計画により、要件を満たした外部講師または、要件を満たした自社従業員である部内講師により行われる訓練等。事業主自ら運営する認定職業訓練
事業外訓練:社外の教育訓練機関に受講料を支払い受講させる訓練等
対象となる経費とは?
- 部外講師への謝礼・手当
- 部外講師の旅費
- 施設・設備の借上費
- 教科書・教材の購入費
- 訓練コースの開発費
- 受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等、あらかじめ受講案内等で定めている費用
助成額・助成率
- 経費助成:75%
- 賃金助成:960円(1人1時間あたり)
支給限度額
中小企業事業主
- 10時間以上100時間未満…30万円
- 100時間以上200時間未満…40万円
- 200時間以上…50万円
中小企業以外の事業主
- 10時間以上100時間未満…20万円
- 100時間以上200時間未満…25万円
- 200時間以上…30万円
参照元:厚生労働省公式HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001113346.pdf
補助金と助成金の違い
助成金も補助金も、どちらも国や地方公共団体、あるいは民間の団体から支給されるお金のことで、それぞれ、受給するためには申請や審査が必要になりますが、給付額や受給の可能性に違いがあります。
助成金:おもに厚生労働省の管轄。給付額は数十万円~百万円ほど。提示された要件を満たせばほぼ受給できる。
補助金:おもに経済産業省や地方自治体の管轄。数百万円~数十億円まで給付される場合もある。採択件数や金額が決められているものが多く、申請しても受給できないというケースも少なくない。
まとめ:費用面で不安があるなら助成金を利用するという方法も
リスキリングを導入するには費用がかかります。しかし、企業の将来を考えれば、けして高い支出ではありません。費用面でリスキング導入に躊躇しているのであれば、こうした助成金を利用してみてはいかがでしょうか。
政府は「人への投資」を5年間で1兆円拡充する方針を示しており、リスキリングへの支援はますます強化されていくことが予想されます。経済産業省などの支援施策を活用して上手にリスキリングを推進していきましょう。
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