近年、ウェルビーイングという考え方が注目を集めています。この概念は、人的資本経営を進める上で重要な要素となります。ウェルビーイングとはどのような考え方なのか、ウェルビーイングによって企業にどのようなメリットがもたらされるのかについて解説します。
ウェルビーイングとは、“体と心と社会が良好な状態”のことで、健康、幸せ、福祉、これらを包み込む概念。満足した生活を送ることができている状態、充実した状態、幸福な状態などを表す言葉で、「Happiness」が瞬間的な幸せを表すとしたら、「ウェルビーイング(Well-being)」は、持続的な幸せを意味します。
自分が幸せだと感じている従業員は、創造的で業務パフォーマンスも高く、組織にも良い影響をもたらすといわれています。こうした点からも、人的資本経営にはウェルビーイングが密接に関わっていると考えられます。
日本でも、ウェルビーイングへの関心の高まりが見られ、ウェルビーイングは貢献意識や働きがいにつながるものだとし、転職先選びの条件にもなっているようです。
ウェルビーイング経営が注目されるようになった背景のひとつとして、日本の労働人口の減少があります。終身雇用制度が崩れ、自分の価値観に合う組織を求めて転職をする人が増えるなど、人材の流動性も高まっています。ダイバーシティという言葉を多く目にするようになったことからも、価値観や働き方が加速度的に多様化していることがわかります。
また、SDGsの中には「GOOD HEALTH AND WELL-BEING」の項目があり、国際的にも注目されています。
幸福感の高い社員は、創造性が3倍、生産性が31%高いという研究結果があります。つまり、ウェルビーイングが高い社員は、モチベーションが高く、生産性も高いということができます。
参照元:ダイヤモンドオンライン(https://diamond.jp/articles/-/314129?page=2)
ウェルビーイングが高いと、欠勤率が41%、離職率が59%低く、業務上の事故が70%少ないという結果もあります。ウェルビーイングを定期的に計測することで従業員のコンディションを知り、事故を未然に防いだり、適切なフォローをすることができるので、人材の確保にもつながると考えられます。
参照元:ダイヤモンドオンライン(https://diamond.jp/articles/-/314129?page=2)
ウェルビーイングを推進する上で意識したいのが、従業員のWell-beingを決めつけないこと。Well-beingな状態は世代によっても大きく異なるため、ひとりひとりの状態をきめ細かく把握していく必要があります。
そのためには、エンゲージメント調査やパルス調査を活用しながら、会社全体から各部門、各個人まで、それぞれのWell-beingの状態を可視化していくことが重要になります。
従業員のモチベーションや生産性に大きな影響を及ぼすウェルビーイング。ウェルビーイングが高まることで、従業員が生き生きと、やる気に満ちて仕事をすることができるため、会社全体に活気が生まれます。従業員ひとりひとりのウェルビーイングを高めることで、会社は成長・発展すると考えられます。
人材を企業の資本と考え、その価値を最大限に引き出そうとする人的資本経営において、ウェルビーイングという概念は密接な関わりを持っているのです。
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。