女性活躍推進への取り組みが進むなか、女性の管理職登用が注目されています。しかし、登用を進めるべきか悩んでいる企業もあるのではないでしょうか。そこで、女性管理職登用の現状と意義、女性管理職を増やすために必要な施策について紹介します。
女性活躍の推進度合いを表す「女性管理職比率」。政府は、1999年に施工された男女共同参画基本法にもとづき、2003年に「女性管理職比率30%以上」を目標に掲げました。さらに、なかなか進まない状況から、2015年の第4次男女共同参画基本計画にて、女性管理比率30%以上を実現するための人材を育てていくことに力をいれるように触れています。翌年には女性活躍推進法が施工され、女性が活躍できるための取り組みが強化されています。
帝国データバンクが実施した「女性登用に対する企業の意識調査(2020年)」では、女性管理職の比率は全国平均7.8%。女性管理比率30%を達成している企業は7.5%でした。しかも、女性管理職が0%の企業が46.9%と多いのが現状です。
※参照元:内閣府/第5次男女共同参画基本計画 (https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/print.pdf)
※参照元:帝国データバンク/女性登用に対する企業の意識調査(2020年) (https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200803.pdf)
女性が活躍している職場は、内部社員はもちろん外部にも性別に関係なく評価がおこなわれていると印象付けますので、公平性や透明性のある会社としての企業イメージがアップします。それは、企業における女性の活躍状況に深い関心を示している投資家にも注目されるなど、グローバル規模で投資家に選ばれる企業になれる可能性も高めます。
さらに、投資家だけでなくサービスを利用する顧客や就職・転職中の優秀な人材など、多くの人が注目し集まることも期待できます。また、社外だけでなく社内への影響も大きく、努力に応じた評価をしてもらえると従業員のモチベーションアップにも繋がります。
女性管理職比率を上げる事で企業が得られるメリットは様々です。その一部には、下記が挙げられます。
性別に関係なく活躍できる職場は、人種・性別・宗教・価値観などの違いへの抵抗も少なく、ダイバーシティの考えが浸透しやすいです。様々な視点を持つ人材が集まることでイノベーション創出がされやすくなり、生産性や企業価値を高めていきます。
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を投資判断に長期的な投資リターン向上を目指すESG投資。SDGsの浸透にともない増えています。女性管理職比率の向上は、ガバナンスがしっかりされているとして、投資家からも注目されています。
女性管理職を増やすことは、後から入る社員にとって将来をイメージするお手本になります。目指す道ややるべきことが明確になり、後に続く社員のモチベーションをアップし成長が期待できます。
女性管理職比率がなかなか向上しないのは、企業が女性管理職を起用していないといった単純な理由だけでなく、出産・育児・介護などによるライフスタイルの変化に合わせた働き方ができないからです。逆にいえば、ライフスタイルに合わせた働き方ができる職場では、女性管理職比率の向上も難しくありません。それには、産休・育休制度の充実はもちろん、転勤を伴わない雇用や時短勤務、テレワークなど、働き方の選択肢を増やすことが有効策となります。
また、女性だけでなく男性の育児参加へのサポートも重要です。2021年に改正された育児・介護休業法では、男性の育児参加のための休業取得の促進が企業に求められています。
ジェンダー投資とは、意思決定プロセスにジェンダーの視点や意見を取り入れ、ビジネス・社会・環境・投資などの向上を目指した投資です。大和アセットマネジメントや三井住友トラスト・アセットマネジメント、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、上智大学など多数の企業や法人、教育機関が取り組んでいます。
例えば、大和アセットマネジメントでは、女性が活躍できるための4つのテーマを掲げたファンドを運用。上智大学ではSDGsに力をいれており、その概念を基にしたESG投資に取り組んでいます。
※参照元:内閣府/投資において企業の女性活躍情報が注目されています! (https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/r2gender_lens_investing_research_01.pdf)
2003年に設定された女性管理職比率30%以上は、20年たった現在でもなかなか到達できていません。ただ、女性管理職を増やすことで、企業イメージのアップ、優秀な人材の採用や定着、投資家に選んでもらえるなど様々なメリットが期待できることからも、女性管理職を増やす試みに取り組んでいる企業も増えてきており、ワークライフバランスを重視した社内体制も注目されています。女性管理職比率向上への取り組みが、会社の持続的発展に繋がります。
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。