2018年に発表されたISO30414。人的資本情報開示のガイドラインとして、今後の活用が見込まれています。ISO30414とはどのようなものなのか、その内容と目的、効果などについてまとめています。
ISO30414とは、2018年に国際標準化機構(ISO)が発表した、人的資本に関する情報開示の国際的なガイドラインです。ISO30414では、11の領域で合計58の指標が定義されています。
コンプライアンスと倫理 | ビジネス規範に対するコンプライアンスの測定指標 |
---|---|
コスト | 採用や雇用、離職など、労働力のコストに関する測定指標 |
ダイバーシティ | 労働力とリーダーシップチームの特徴を示す指標 |
リーダーシップ | 管理職への信頼などの指標 |
組織文化 | エンゲージメントなど、社員の意識と定着率の測定指標 |
健康、安全 | 労災などに関する指標 |
生産性 | 人的資本の生産性と組織への貢献の指標 |
採用、移動、離職 | 人事プロセスにおいて、適切な人的資本を提供する企業の能力を示す指標 |
スキルと能力 | 個人の人的資本の質や内容に関する指標 |
後継者計画 | 後継候補者の育成度合いに関する指標 |
労働力 | 社員数などの指標 |
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。
近年、企業価値を測る上で、人的資本の位置づけが高まり、人的資本の情報開示が求められています。
また、ESG(Environment、Social、Governance)を重視する企業が増え、その重要性についての理解も広まっています。このESGの観点から投資先企業を選定するESG投資も注目を集めています。
こうした要求に応える形でISO30414が制定されることになったといわれています。
ISO30414は、社内外のステークホルダーに対しての、人的資本に関する報告の指針として、また、労働力の持続可能性をサポートするため組織に対する人的資本の貢献を考察し、透明性を高めることを目的に発表されたといわれています。
ISO30414は、事業の種類や規模、性質などに関係なく、すべての組織に適用可能なガイドラインとされています。
ISO30414に則って人的資本の情報開示に取り組むことで、人的資本が数値化できます。これにより、採用や育成、配置などの項目に対して、どのように注力すれば効果が得られるのか、どの項目に投資していくかという議論もしやすくなり、判断も下しやすくなります。
ISO30414に準拠した情報開示は、求職者にとって会社を選ぶ際の判断材料のひとつになります。最近では、「この会社で自分が成長できるか」という考えを持つ求職者が増えているため、人的資本の情報開示がされている企業であることがアドバンテージになり得ると考えられます。
投資家や社会的な要求により発表されたISO30414ですが、これに準拠して人的資本の情報開示に取り組むことは、適切な施策への判断を下せたり、投資家や求職者からの信頼が得られる等、企業にとってもプラスに働くと考えられます。他部署と連携してデータを揃え、得た情報を経営や人事の施策に積極的に活用していきましょう。