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更新日: 2023/08/23

リスキリングを実施するメリットとは?リスキリング導入までのステップを解説

第4次産業が社会にもたらす変革として、重要視されているのが「デジタル化・DX化」「業務自動化」。加速するDX化と自動化によって引き起こされる技術的失業を未然に防止する対策として、リスキリングが世界中で注目されるように。ここでは、リスキリングを実施するメリット、導入するためのステップを紹介します。

INDEX

企業がリスキリングを実施するメリット

人材の採用・教育にかかるコストを抑えられる

新規事業に取り組む場合、そこに必要な人材を確保するために、新規採用や育成を行うとなると、それなりにコストがかかります。とくに、人材を確保するまでに時間がかかると、その分、コストはかさみます。

しかし、現在いる従業員に、リスキリングで必要なスキルを身につけてもらえば、採用コストはかかりませんし、新入社員を一から育成するよりもコストを抑えることができます。

優秀な人材をキープできる

優秀な人材がリスキリングによって新しいスキルを習得した場合、新しい業務にも順応しやすく、身につけたスキルをすぐに使いこなすことができます。それによって仕事へのモチベーションややりがいも向上するので、離職率を下げ、優秀な人材を自社に留めておくことにもつながります。

インターナルモビリティを活性化する

リスキリングを導入することで、企業が従業員を尊重し、社内で成長の機会があること、それが新しい職務や昇進につながるということを示すことができます。それによって、モチベーションが上がり、従業員も積極的にリスキリングを活用するようになります。

その結果、社員の希望によって移動が行われるインターナルモビリティが活発になり、従業員もさまざまな分野でスキルを伸ばし、担う役割も拡大していくため、同じ会社で働き続ける可能性が高くなると考えられます。

従業員エンゲージメントを向上させる

企業が全面的にスキルアップを支援するリスキリングを行うことで、従業員のエンゲージメントを高めることができます。

新しいスキルを学ぶ機会が与えられると、従業員は、会社が自分を評価してくれていると感じたり、現在の業務がなくなってしまった場合でも、新しい業務に就けるという安心感が得られ、会社に必要とされていると感じることができます。従業員のエンゲージメントを高めることは、企業の生産性の向上にもつながります。

企業のイメージアップにもつながる

従業員の成長や昇格の機会を提供するリスキリングを導入することは、そこで働く人材への投資に熱心な企業であるということを社内外に認識してもらうことができます。それにより、自分自身が成長できる、環境の整った企業を選択したいという優秀な人材を採用することも可能になります。

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企業によって異なる、真の人的資本経営とは?

どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。

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リスキリングを導入するステップ

①将来必要になるポジションやスキルを定める

リスキリングを導入するにあたって、まず、将来自社に必要となるポジションやスキルは何かを明確にする必要があります。市場ニーズの高いデータサイエンスやプログラミングの講座を用意しても、自社にとっての必要性が低ければ、芳しい結果を得ることはできません。

②対象とする従業員や部署を決める

経営戦略をベースに、どの部署、どの人材を対象に行うかを選定します。現在、従業員がどのようなスキルを持っていて、それが今後必要なスキルとどれくらい乖離があるかの確認も欠かせません。対象部署や対象者が決まったら、面談などでリスキリングについての理解を得るようにしましょう。

③何を学ばせるのか?教育プログラムを決める

スキルギャップは従業員によって異なるため、個別のプログラムを組めるのが理想です。リスキリングに用いられる教育プログラムの代表的なものは、研修、eラーニング、社会人大学、セミナー、ワークショップなどがあります。従業員が学習しやすい環境を選べるよう、複数のプログラムを用意しておくのがおすすめです。

④自社で行うか外部リソースを使うか決める

リスキリングを行う場合、自社で行う方法と、外部のリソースを使う方法があります。自社で行うと、費用が削減できたり、アフターフォローがしやすかったり、講師役になる従業員自身の育成もできるというメリットがある一方、講師役の従業者の負担が大きく、講師によって内容等に差が出てしまうというデメリットもあります。

外部リソースを利用する場合、講師は専門家であるため知識や指導力が高く、自社にはない目線からの学びを受けることができます。しかし、費用が高額になることが多く、また、自社に指導のノウハウを蓄積することはできません。

リスキリングを導入した企業事例

富士通株式会社

IT企業からDX企業への変革に向け、従業員13万人をDX人材にリスキリングする取り組みを実施。人材育成プログラム「Global Strategic Partner Academy」を開始。パートナー企業の協力の下、テクノロジースキルを習得できる教育プログラムを開発。

株式会社日立製作所

人材戦略のひとつとして「デジタル人材の強化」を掲げ、国内グループ企業の全従業員にDX研修を実施。グループの日立アカデミーと連携し、会社独自の研修プログラムを開発。

株式会社三井住友フィナンシャルグループ

グループ全従業員5万人を対象とした「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム」の実施を開始。eラーニングを中心とした教育を通じ、業務におけるデジタルツール活用方法やクライアントのDX支援についての手段など、DX推進のためのスキルを学ぶ。

まとめ:企業と従業員双方のアプローチが重要

リスキリングを推進するにあたっては、人材のポートフォリオの可視化が必須。自社で働いている従業員がどのようなスキルを持っているのか、スキルギャップを明確にして、自社に足りない人材・スキルを洗い出すことが先決です。

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リスキリングを成功させるためには、企業と従業員の双方が積極的にアプローチすることが重要です。リスキリングを受ける従業員にとっても、自身の成長やスキルアップにつながること、雇用の安定化を認識できることなどのメリットを理解してもらい、自発的に取り組むことができる環境を整えましょう。