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更新日: 2023/08/23

サクセッションプランとは?後継者育成計画の進め方と企業事例を紹介

後継者育成計画とも呼ばれるサクセッションプランは、将来、経営層の重要なポストが空席とならないよう、あらかじめ候補者を選定し、スキルを身につけさせる取り組みです。サクセッションプランの概要や進め方についてまとめています。

INDEX

サクセッションプラン(後継者育成計画)とは?

サクセッションプランとは、経営戦略上の重要ポストが将来欠けないように、その候補者を前もって管理すること。長期的かつ計画的に行われる後継者育成計画のことで、重要ポストの特定、ポストに就く従業員の案件の定義、従業員のアセスメント、候補者の指名、候補者の育成、ポストと候補者の定期的な見直しまでを含みます。

欧米では一般的な手法で、社長をはじめとする経営幹部が後継者を指名し、その人材を計画的に育成。経営に直結するポストが空席になった際、適切な人材をスピーディーに配置し、ポストの空白期間をなくすことを目的としています。

日本では、後継者育成だけでなく、次世代リーダーとなる若手人材を選定・育成するという目的として、サクセッションプランに取り組んでいる企業も増えているようです。

サクセッションプラン作成が注目されている理由

現在、中小企業において後継者不足が大きな課題になっていて、後継者がいないことで廃業に追い込まれる企業も少なくありません。日本国内の企業のうち、99%が中小企業であることから、後継者不足は深刻な問題です。

参照元:中小企業庁_最近の中小企業の景況について_PDF(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf

経営者の交代は企業価値を左右する重要な意思決定であり、安定な経営を維持するためには、積極的な継承が求められます。東京証券取引所が策定した「コーポレートガバナンス・コード」は2018年に改訂され、取締役会はサクセッションプランに主体的に関わるよう促しています。

また、ISO30414においても、サクセッションプランニングが設けられていて、持続可能な労働力計画に不可欠なツールであると説明されています。

サクセッションプランと人材育成の違い

人材育成は、経営戦略に沿い、職務に必要な知識やスキルの習得を目的とした施策。おもに人事部が主導となり、研修やサポートを行っています。

サクセッションプランは、会社を経営するために必要なスキルや能力を身につける施策で、人材育成よりも長期視点での育成が必要となるため、数年から数十年という長期的な計画になることも多いようです。また、経営幹部が主導権を握り、直接育成や評価に携わります。

サクセッションプランの進め方

サクセッションプランは以下の流れで進むのが一般的です。

管理するポストの決定

サクセッションプランを行うポストを決定し、そのポストが果たすべき役割や職務を定義し、必要となる人材の要件を決定します。おもに、経営層、現場部門長、人事部の三者の話し合いによって決まります。

社員のアセスメントと選抜

該当ポストに登用できそうな候補者を選抜します。場合によっては、求められる人材要件に沿って従業員をアセスメントする必要があります。その際、プロジェクトや異動歴などの経験、スキルの有無、スキルレベルなどを基にして評価されることが多くあります。

すぐに着任できる人材だけでなく、今後の育成状況によって登用できそうなポテンシャルを秘めた人材も選抜されます。

選抜した従業員の育成

候補者が選抜されたら、従業員ごともしくは候補者群ごとに育成案を作成して実行していきます。育成方法は、研修、配置転換やジョブローテーションによる業務体験、複数の部署における管理職体験、海外派遣など、企業によってさまざまです。

振り返り、調整

定期的に従業員をアセスメントして後継者候補を見直し、育成が予定通りであるかを確認します。自社の状況に合わせて、新たなポストを管理対象としたり、管理対象としていたポストを外したりという調整も行います。

サクセッションプランの事例

りそなホールディングス

役員の選抜や育成を目的として、次世代トップ候補者や新任役員候補者を階層ごとに分けた育成プログラムを策定。育成プログラムは客観的な視点を重視し、外部コンサルタントから助言を受けることができ、その評価はすべて指名委員会に報告されて選抜の透明化を図りました。

参照元:PHP人材開発公式HP(https://hrd.php.co.jp/executive/articles/post-811.php#heading_3

花王株式会社

基盤人材育成のため、人財の定義を「今すぐ後任となれる人財」「1~3年で後任として育成する人財」「3~5年で後任として育成する人財」の3つに分けてサクセッションプランを実施。

対象者はサクセッションプランフォームを作成し、基本的な使命や求められる経験、知識を把握。課題達成度は対象者本人にフィードバックされます。

参照元:PHP人材開発公式HP(https://hrd.php.co.jp/executive/articles/post-811.php#heading_3

まとめ:時間をかけて後継者を育てることができる

企業の経営に関わる重要なポストが空席になると、業務に大きな支障が出ます。そのため、あらかじめ後継者候補を選抜し、時間をかけて会社経営に必要なスキルを身につけさせていくのがサクセッションプランです。

企業の後継者選定は、今後の企業の命運を左右する重大事項であるため、慌てて後継者を選ぶようなことは避けたいもの。サクセッションプランを実施することで、じっくりと後継者を育てていくことができます。

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