1on1は意味ないとも言われていますが、なぜそのように言われているのでしょうか?ここでは、1on1を無意味にしている理由と、成功させるためにはどうしたらいいのかをご紹介しています。
1on1は、上司や部下、同僚との信頼関係の構築、業務改善効果を高めるなどの目的をもって取り組むものである為、当事者が目的を理解していなければ無駄に終わってしまいます。目的を理解していなければ、どのように進めていけばいいのかもわからず、ただ時間が過ぎるだけで何も成果を得られないなんてことにも。ただの雑談で終わってしまうようでは、「時間の無駄」「他にやることがある」など会社への不満につながってしまいかねません。
部下と上司が1対1でおこなう面談ですので、そこに対話がなければ成り立ちません。上司はコミュニケーションから、部下が抱えている悩みや将来のビジョンなどを知り、部下が成長するための問題解決や今後のアドバイスなどを提示します。ただ、それには相手方の資質や適性の理解が必要です。
いくら上司が親身になって考えても、部下が理解できない、やり方が合わないアドバイスでは伝わらない状態ではやる気もおきません。お互いの資質や適性を理解していないがゆえのすれ違いは、ネガティブな感情を持つだけになってしまい、1on1がマイナスの影響を与えることになります。
立場的なものからも、上司に対してズケズケと遠慮なく言える部下はなかなかいません。そのため、そうした立場の違いも配慮した対応が上司には求められます。遠慮していることを考慮し、部下の性格を理解したコミュニケーションを提供する必要があります。
配慮のないコミュニケーションで、上司が一方的に自分の意見を伝えるだけに終わってしまうと、「話をちゃんと聞いてもらえない」と1on1が成立しなくてなってしまいます。その結果、部下から意見が出なくなり、業務の課題や問題点などが見えにくくなるなど悪循環となります。
1on1を実施することで、次世代の働き方に対応する新しいスキルを身につけるリスキリングを促進させます。1on1を成功させるためには、現場に丸投げするのではなく、トップが先頭にたって動く必要があります。
1on1を実施する目的や重要性について、経営トップが自分の言葉で従業員に伝えられることが重要です。「なぜ1on1が必要なのか?」について経営者が語れなければ、従業員は1on1に価値を見出せず浸透させていくのは難しくなるでしょう。
また、トップからのメッセージは一度だけでなく、機会をみつけて繰り返し発信していくことが大事です。経営戦略に盛り込んだり、メッセージ動画として社内配信、ミーティングや朝礼などで頻繁に取り上げるなど、折に触れては1on1について語るといいでしょう。
管理する部下の数が多すぎると一人一人の動向を把握するのが難しくなり、1on1を有効に実施することができなくなります。しかも、1on1にかかる時間が増えて管理職の他業務がおろそかになるなど、様々な支障が懸念されますので、人数が多ければ管理できる人を増やします。
また、上司も最初は手探り状態ですから、臨機応変に対応するためのガイドラインの整備や上司を対象とした1on1を実施するといいでしょう。1on1の重要性やティーチングとコーチングの違い、行動計画の立て方、模擬練習やロールプレイングなど、1on1についての理解を深めることで効果的な1on1の実施が期待できます。
1on1の実施については、人事部のほうでも定期的にチェックすることが大事。1on1の実施回数は推奨されている通りか、話の内容は適正か、1on1を実施することで上司と部下にどのような変化があったのかなどを確認し、問題がみられれば対処します。
また、1on1で話した内容は管理ツールを使って記録します。次回以降の1on1で役に立ちますし、1on1による変化を分析することも可能になります。
1on1は、その目的を理解し、上司の臨機応変な対応で成功するもの。上司も部下も目的がわからないまま実施している状況では、効果がでないだけでなく悪影響しかありません。適切な運用で従業員のエンゲージメント向上や成長を促進でき、会社の業績にも大きく貢献することになります。
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