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更新日: 2023/08/23

新卒の離職を防止するには?離職理由と対策方法

新入社員の3人に1人は離職しているというデータからも、企業でも何らかの対策は必要です。アンケートから、新入社員の離職理由や原因、大企業と中堅企業での離職理由の違いなどをご紹介しています。

INDEX

新卒・新入社員が離職する理由

約3人に1人が離職している

厚生労働省が2022年10月に発表した新卒者の離職率(就職後3年以内)では、新規高卒就職者が35.9%、新規大学卒就職者が31.5%(※)といったデータが出ています。約3割が離職しており、その割合は前年と比べて上昇。離職率の高い職業では、新規高卒・新規大学卒共に宿泊業・飲食サービス業が多くを占めています。

※参照元:厚生労働省公式HP (https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00005.html)

新入社員の離職理由

新入社員の離職理由は様々ですが、以下のような理由が挙げられます。

企業への期待と現実とのギャップ

就活の様子から得た働くイメージが入社後の現実とズレている事に気が付き、その原因や理由に悩み、離職に繋がります。

職場の人間関係が好ましくない

上司・先輩・同僚とコミュニケーションが取れない、相談できる人がいない、ネガティブな人間関係に疲れてなど、風通しが悪い職場では敬遠されます。

労働条件が悪い

給与が低い、残業が多い、休日がとりにくいなど、仕事オンリーな体制では長く続きません。

能力・個性・資格をいかせない

得意分野を活かせない、全く関係のない業務ばかりでは、やりがいが感じられずに辞めてしまう事も。

配置ガチャ・仕事の内容に興味を持てない

興味が持てない仕事や、希望していたのとは異なる部署への配属でやる気が出ず、他で探すために辞めてしまいます。

若手人材が離職する要因

離職理由は、大企業と中堅企業など会社の規模によっても異なります。HR総研が実施したアンケート「若手人材の離職防止」から、それぞれの理由が見えます。(調査期間:2022年10月17~24日/調査方法:WEBアンケート)

※参照元:ProFuture株式会社/HR総研公式HP (https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=349)

大企業で多い離職理由

大企業(1,001名以上)における離職理由で一番多かったのが、「業務内容のミスマッチ」です。46%と半数近くが、業務内容に不満を感じて離職しています。その次の「上司との人間関係」と「社内でのキャリアアップが見込めない」がともに32%を占めています。

中堅企業で多い離職理由

中堅企業(301~1,000名)では、「上司との人間関係」が53%と半数を超えており、次に多い「業務内容のミスマッチ」と「同僚・先輩・後輩との人間関係」が共に38%となっています。職場のコミュニティが狭くなりがちで、上司との距離も近い分、良い面だけでなく悪い面もよく見えてしまうようです。

新卒の離職を防止するには

新入社員の離職を減らすには、離職理由を参考に改善していく必要があります。また、慣れない環境で働くだけに、周囲からの理解と協力は不可欠です。

継続的なキャリア支援

面談やフォロー研修などで、本人の気持ちも大事にしたキャリア形成を構築します。スキルマップや評価シートなどを用い、身につけるべきスキルや目標などを設定し、仕事へのモチベーションを高めます。

パフォーマンスフィードバックと評価の透明性

新入社員の強みや才能、成果についての評価基準や評価方法をオープンにし、公平・公正に実施します。

上司のマネジメントスキル向上

新入社員が一人で仕事をこなせるようになるには、周囲のサポートだけでなく上司のフォローアップも不可欠です。適切な業務指示や能力に応じた仕事の割り当て、育成環境の構築など、新入社員をバックアップします。

離職率が低い企業が推進する経営方針とは

離職防止を意識した取り組み

新入社員の離職防止として、各企業で様々な取り組みがおこなわれています。多くの企業で取り組まれているのが、「社内コミュニケーションの活性化」です。特に中堅企業では人間関係が原因で離職するケースが多くなっているので、円滑なコミュニケーションの構築は離職理由そのものをなくします

また、「教育・研修制度の強化」をおこなうことで、若手社員が働く目標と将来のイメージが持てるようになり、前向きに取り組む原動力になります。特に大企業ではキャリアアップを求めての離職も少なくないので、教育・研修制度を整える事は有効です。

※参照元:HRpro公式HP (https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=349)

効果が感じられた取り組み

離職防止策を実施した中で、その効果が大きいのは「待遇改善」と「社内コミュニケーションの活性化」です。ただ、待遇改善は効果があるとわかっていても、そう安易に取り入れられるものではありません。「社内コミュニケーションの活性化」は難しくない事からも、実施している企業は多いです。

※参照元:HRpro公式HP (https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=349)

まとめ

新入社員の離職を防止するためにも、これからの「人材採用」では、だた優秀な人材を見つけて確保するだけでなく、「育成・活躍・定着」までも見据えた設計をおこなうことが重要です。

「採用」「育成」「活躍」「定着」の4つをバランスよく取り入れた、人事戦略の構築が急務。転職が当たり前となった現代だからこそ、透明性・納得性の高い戦略的な人事制度を構築する事で、社員の不満を解消し、活躍・定着に繋がります。

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