MVVとは、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の略語であり、経営コンサルタントで著述家の故ピーター・ドラッカーが提唱したもの。日本語では、「使命」「理念」「行動指針」と訳され、人的資本経営においても重要な意義を持っています。
そもそもMVVとは、「マネジメントの父」「現代経営学の父」と呼ばれるピーター・ドラッカー氏が提唱した概念であり、著書『Managing in the Next Society』において、その重要性を述べています。
MVVはそれぞれ、以下のような位置づけになっていると考えられています。
これらを踏まえた上で、MVVがもたらすメリットについて考えてみましょう。
近年、リモートワークが定着し、自宅やシェアオフィス、レンタルスペースなどで仕事をする人も少なくありません。しかし、会社に足を運ぶことが減ると、同僚や上司、部下と直接顔を合わせることも少なくなり、会社への帰属意識の低下という課題も生まれてくるようです。
このような場合、MVVによって独自のミッションが与えられ、従業員がそれに納得することで、別々の場所で仕事をしていても、チームとしての一体感が生まれやすくなり、業績の向上も見込まれます。
MVVが言語化され明確になると、社内の共通価値観が作られやすくなります。そのため、採用においても、応募者が自分たちの価値観と合うかどうかを確認しやすくなり、自社の価値観に合った人材を採用できます。すると、入社後のギャップも少なく、離職率の低下にもつながります。
MVVは、従業員が日々行わなければならない意思決定をスピーディーかつ的確にする判断材料になります。判断に迷う難しい局面でも、MVVが根付くことによって、多くの人を納得させる意思決定を、誰でも行うことができるといわれています。
MVVは、採用活動においても有効です。残業の少なさや休みの取りやすさなど、ワークライフバランスが整い、働きやすさをアピールする企業もありますが、そのような条件を提示できない場合、企業の魅力として明確なMVVを掲げるというのもひとつの方法です。むしろ、MVVを発信することで企業のブランディングができ、その価値観や方向性に共感し、積極的かつ前向きに仕事に取り組む求職者を採用することが可能になります。
MVVはあるのになかなか従業員に浸透しないというケースに対し、MVVを浸透させるためのポイントを紹介します。
社内報は、従業員の目に入りやすい媒体でもあり、企業の情報共有や社員間のコミュニケーションを促すことにも役立ちます。定期的に発行される社内報の中でMVVを取り上げていけば、段々と従業員の意識にも刷り込まれていくことが期待できます。
企業の信条や行動指針を印刷したクレドカード。そのカードを携帯することでいつでも目にすることができ、MVVを踏まえた意思決定や行動ができるようになると考えられます。
MVVは、経営者自らがその重要性を随時説いていくことによって、会社がどれだけ重要視しているかが従業員に伝わりやすくなり、従業員も意識するようになります。
MVVに基づく行動をした従業員を評価・表彰することで、他の従業員もそれに倣った行動を取るようになると考えられます。評価・表彰の基準を明示すると、従業員も理解し、行動に移しやすくなります。
ミッション…自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します
ビジョン…食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる(CSV=Creating Shared Value:共通価値の創造)
バリュー…熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉
ミッション(経営理念)…情報革命で人々を幸せに
ビジョン…世界の人々から最も必要とされる企業グループ
バリュー…「努力って、楽しい。」「No.1」「逆算」「スピード」「執念」
参照元:人事ポータルサイト【HRpro】(https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2713) 参照元:ツギノジダイ(https://smbiz.asahi.com/article/14567983) 参照元:solanowa(https://solanowa.jp/column/no037.html)
MVVは、企業にとって、経営の中核に置くべき概念・フレームワークとして、人的資本経営に欠かせない要素のひとつです。MVVが従業員に浸透することで、チームとしての一体感が生まれ業績がアップしたり、離職率の低下につながるなどのメリットが生まれると考えられます。
MVVの浸透を促すためには、常に目に触れるところにMVVを掲げたり、日頃から意識できるような環境を作り出しておくことも重要です。
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。