従業員の持つ知識や能力に注目し、そのスキルを発揮できるような採用・育成を行う取り組みであるタレントマネジメント。なぜいま、その取り組みが注目されているのか。タレントマネジメントの必要性について解説しています。
そもそもタレントマネジメントとは、従業員が持つ能力や知識、経験などの「タレント」に注目し、そのスキルが存分に発揮できるよう、人材を計画的に採用・育成する取り組みのことです。
タレントマネジメントを行うことで、事業に必要な人材を必要なタイミングで提供することができ、企業の経営目的を達成することができます。
また、会社の規模が大きくなり縦割りの体制になると、部署同士の連携がスムーズにいかず、業務効率が悪くなることがあります。このような場合、タレントマネジメントを行うと、従業員に合った業務や部署に転換することができ、社内の業務も円滑に回るようになることが期待できます。
どのような人材が自社にとって、ハイパフォーマー(高い成果や業績を上げる)人材といえるのかを明確に言語化し、ハイパフォーマー人材がより活躍できる環境の整備、新たなハイパフォーマー人材の育成・採用を行うことが重要です。当メディアでは、真の人的資本経営を実践していく3ステップを解説します。
現在、タレントマネジメントが必要とされている理由としては、以下の4点が考えられます。
日本は現在、少子高齢化が進み、慢性的に人材不足の状態です。そのため、どの企業においても活躍人材の需要が高く、企業間での人材獲得競争が激しくなっています。企業としては、限られた人材の中で生産力を維持・向上させていくためにも、個人の知識や経験、スキルを見極めて、より高いパフォーマンスが発揮できる業務や部署に配置したいと考えています。
副業や複業、フレックス制、リモートワークなど、時間や場所にとらわれない働き方が増え、仕事に対する価値観も多様化しています。従来の画一的なマネジメントではそうした人材に対応することが難しくなっていることから、タレントマネジメントが注目されているようです。
テクノロジーの急速な発展や新型コロナウイルスの流行などによって、人々の生活は変化し、企業を取り巻く市場・環境も大きく変わりました。それによって、従業員にも、専門的かつ高度なスキルが求められるようになっています。こうした市場の変化により、ひとりひとりのスキルや可能性を重視し活用するタレントマネジメントが関心を集めています。
これまでの日本では、一度入社したら定年までその企業で勤め上げるという終身雇用制度が主流でした。そのため、入社してからじっくりと時間をかけて人材を育成することができましたが、転職が盛んになり、非正規社員も増えた現在、ひとりの人材を長期雇用することが難しくなりました。そこで、自社が必要とする人材の育成を、時間をかけずに行うことができるタレントマネジメントのニーズが強まったと思われます。
タレントパイプラインとは、特定の人材を常に確保するために、人材候補のプールを用意する仕組みのこと。中でも、後継者を育成する取り組みは「リーダーシップパイプライン」と呼ばれます。
リーダーシップパイプラインは、後継者候補を常時、計画的に用意しておくもので、後継者が必要になるタイミングに合わせて、候補者に特別な経験を与えて、経営者としての心構えやスキルを少しずつ身につけさせていきます。
後継者だけでなく、それぞれの業務や部署に沿った人材を育成するためには、この考え方を導入し、タレントパイプランを構築しておけば、安定した人材の供給ができると考えられます。
タレントマネジメントは、必要な人材を必要なタイミングで供給できるようにするために行われます。少子高齢化により、活躍人材の需要が高まっている現在の日本において、人材の有効活用は経営課題の重要なポイントです。
人材の適材適所なのか、後継者育成なのかによって、タレントマネジメントへの取り組み方は変わってきます。タレントマネジメントを導入する際には、自社の経営課題をあぶり出し、目的をはっきりとさせておきましょう。